義元ゆういち『とんずらごはん』

義元ゆういち氏の新作漫画はなんとグルメ漫画でした。マガポケというスマホ向けアプリとウェブサイトでの週刊連載であり、毎週最新話が無料で公開されていました。2019年11月に最終巻が発売され、全4巻で完結しています(第4巻は電子媒体のみ)。

とんずらごはん(4) (マガジンポケットコミックス)

殺人容疑をかけられた女性が逃亡生活を送りつつ、道中のB級グルメを食して廻るというストーリー。恋人はなぜ殺されたのか、なぜ自分が追われるのか、真犯人は誰か、といった謎を解き明かすための旅なのかと思いきや、とにかく食べる。実においしそうによく食べる。

逃亡犯の食レポという設定がうまくはまっていたのでしょう。逃げ続ける主人公という設定が全国各地を旅する必然性を支えており、当然のように飢えているので、紹介されるごはんのおいしそうなことといったら。冤罪の逃亡犯という属性から漂うはずの悲壮感なんてありません。『夢喰い探偵』にも見られたような味わいのあるギャグは健在で、第2話のカツ丼の件と、第15話の出汁の件はお腹を抱えて笑いました。

Twitterなどネット上での評判は上々で、どうして連載が終わってしまったのか不可解なくらいです。もしかすると次の企画が動き出しているのかもしれません。完結後に番外編がマガジンRに掲載されたのは『夢喰い探偵』のころが想起され感慨深いものがありました。

 

冒頭3話はこちらで読めます

とんずらごはん - 義元ゆういち / 【#1】始まりの神タンタン | マガジンポケット